くっつき虫投げたい

なんで三戸町に行きたいか、なんて聞かれたって、説明できるような理由はない。
ただ、今日の私は彼女に出会って、泣きたくなるほどムシャクシャしてたから。

彼女は横浜在住の大学4年生。
インターン先はサブカル系の雑誌で有名な編集部で、
でも、そことは別の大手出版社に就職も決まってる。

若くて容姿端麗、おまけに笑顔も超かわいい。
会話の内容は時事ネタから民藝品まで多岐に渡って、
切り返しもウィットに富んでいい感じ。
それなのに「ああこの子ウラオモテないんだな」って思わせる屈託のなさ。
というか、白Tとジーンズのシンプルなコーディネートが、
なんでそんなにオシャレになっちゃうの?

この世界ではときどき、非の打ち所のない存在が、人の形になって現れる。
そういう存在に出会ってしまったとき、
32歳にしてタウン情報誌の下請けの下請けなんてやっているような私は、
もうどうすればいいのか、わからなくなる。

だから夕方、一人で裏山に行って、くっつき虫を摘んだ。
フェリーの上から手を振りながら海の向こうへと旅立っていった彼女に向かって、
思いっきり投げつけるために。

彼女はアートで有名な島へと旅立っていった。
私もその島へは行ったことがある。
とてもいい島だった、まるで彼女みたいに。

けれど、私はもっと、何もないようなところに行きたい。
オシャレじゃなくていい。
アートもなくていい。
出版社なんてなくてもいいし、ジーンズをGパンと呼ぶような町でいい。

ううん。
そんな町がいい。

だから、三戸町に行ってみたい。

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