Sannohe TABI-KIJI Contest 2017

【一次審査通過】食べログ不毛地帯、三戸。/今井雄紀(株式会社ツドイ)様

レビュー社会である。

本、家電、ゲーム、映画、音楽……何にでも点数がつき、それがまるで絶対的な評価のように扱われる。公開後すぐに高評価のついた映画はあっという間に「必見!」扱いとなり、悪評の立ったゲームのレビュー欄にはどんな罵詈雑言を書いてもいい空気が漂う。客観など、主観の集合に過ぎないのに、だ。

このなんでも点数化社会、良くも悪くも強い影響を受けているのが、飲食店ではないだろうか。「食べログ」で地図表示をしたとき、飲食店は薄黄色の星であらわされるが、3.5点以上を取るとこの星がオレンジ色になる。オレンジの集客効果はすごいらしく、都心では自分の店をオレンジにするため躍起になる店主がたくさんいる。

しかし、わたしは敢えて言いたい。食べログの店数=店の価値ではない。こと地方において、この傾向は顕著だ。

なぜ点数が上がらないのか、まず前提として、絶対的なレビュー数の少なさがある。食べログはその仕組み上、数件の高評価がついても店自体の店数が大きく上がることのないようになっている(身内による工作を防ぐため)。そもそも来店数が少なく、また、ネットを積極的に使う人も少ない地方では、オレンジ星を獲得することはなかなか困難である。

そしてこれが最大の問題なのだが、そもそも地方の人は自分たちが食べているものを「うまい」と感じていない可能性がある。私事で恐縮だが、わたしは滋賀県の農家の生まれだ。コメも野菜も玉子も(家ににわとりがいた)買ったことがないまま22歳まで育ったわたしが、東京に出てきていちばん驚いたのは、スーパーで買うコメと野菜と玉子のまずさだった。そのときはじめて、自分がいかに「うまい」ものを食ってきたのかを認知し、両親・祖父母に感謝することができた。人間は相対評価の下手な、愚かな生き物なのだ。

前置きが長くなったが、三戸町の食べログは壊滅的な状況だ。

最高点は「SAN・SUN産直ひろば」の3.11(17/9/10現在)。当然オレンジの星は一つもなく、「青森県 グルメ」と検索したときに100位以内にすら入ってこない。旅行にしろ移住にしろ、その希望者が地方の比較検討をするとき、「食」は大きなファクターとなり、その調査は悲しいかな食べログ(と、ときにインスタだけど、こっちもおいしそうな写真なし……)によって行われる。現状、「食」を目的に三戸町を訪れる人はほとんどいないだろう。

しかし、しかしである。本当に三戸町には、うまいものがないのだろうか。またまた私事で恐縮だが、わたしは4年ほど前、夏休みを利用して八戸までバイクで旅をしたことがあり、まあ、何を食ってもうまかった。宮古島から札幌まで、それなりに全国のうまいものを食べてきたつもりだが、八戸はその中でもかなり上位の土地である。そのすぐ近くの町の最高点が3.11というのは、ちょっと信じられない。たぶん、正当な評価を受けていない。「ひっつみ汁」も「きんかもち」も、「りんご」も「にんにく」も、子どもの頃から食べ過ぎてそのうまさをわかっていない可能性が高い。

グルメブロガーでもなんでもないわたしだが、ぜひ直接うかがって、僭越ながらそれぞれに正しい点数(どこまでも主観ではあるが)をつけていきたい。だから、三戸町に行ってみたい。